昭和天皇独白録 (文春文庫)



昭和天皇独白録 (文春文庫)
昭和天皇独白録 (文春文庫)

ジャンル:歴史,日本史,西洋史,世界史
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史料として最高級に面白い

大日本帝国にとって昭和は戦争の時代だった。
その戦争の時代を、終戦間もない頃の昭和天皇が語った第一級の史料である。
年代などはあまり明示されていないが、昭和の歴史と重ね合わせてみると
最高指導者の一人であった昭和天皇が何を考え、感じていたのか、
その一端をかいま見ることができ、きわめて興味深い。
これがこれほど遅れて出てきた理由も、本書に収められている。

ただ、これはあくまで史料。巻末の対論で出てくるように、どのような時期に
何のために書かれた草稿であったかという点は用心深く評価せねばならない。
当時の英訳らしきものも発見されている今日、歴史的にこの文書をどう位置
づけるかは、やはり難問のように思える。

それにしても巻末の対論で面白かったのは、論拠を明示しながらこの文書が
GHQ対策ではなかったのかと推測する歴史学者・秦氏に対して、理由もなく
「忖度だ」と切って捨てる児島氏が、やはり作家だなぁと痛感したことだった。
政治家・国家元首・大元帥、そして、ひとりの人間。天皇裕仁の苦悩と限界。

■■武力・経済力・文化力を兼ね備えた米英が牛耳る弱肉強食の世界の中で、日本はどう生き残ればよいのか。

立憲君主制を掲げる日本の政治の中で、昭和天皇はどう考え、どう行動し、どんな限界に直面したのか。

■■占領下、天皇とマッカーサーとの通訳を担当した外交官寺崎秀成による天皇の発言の記録。

◆次いで、寺崎氏の娘でこの文書を保管していたマリコ・寺崎・ミラー女史の、両親への回顧。

◆最後に、解説に代えて、伊藤隆氏、児島襄氏、秦郁彦氏、半藤一利氏による座談会。
読み物としては面白いのでは。

内容がすべて真実ではないでしょう。
ただ年配の方と話をしていると時折感じる誇張感、あー話を膨らませてるなーというあの感じが、この本での昭和天皇の発言にもあり(あくまで私の感想ですが)、その人間臭さの部分は真実であって欲しいな、と思いました。
どう受け止めるか。そして調べるか。

当然この独白録は政治的な意味合いが大きいものであろう。
だから、ここに書かれた昭和天皇の発言がそのまま真実、もしくは昭和天皇が思っていた事と受け止めるわけにはいかない。
一次資料にはなる。しかし、書かれた経緯、その当時の政治状況等を調べ、他の人間の資料に当たってから判断すべきだと思う。
ゆめゆめ、全て肯定も否定もしない事だとおもう。
私が読み、少し調べただけでもおかしな点はたくさんある。
その理由は既に関係者が死亡している以上はわからない。しかし、推測はできる。
やはり、この当時の天皇はマッカーサーに言ったといわれる「自分はどうなっても良いから・・・」という発言からは、
もっと先に進んで自分が天皇の位におり、三種の神器を守ることが役目だと思っていたように思える。
そのためには、不遜な言葉だが、切れる者は切るという姿勢になったように思える。
いずれにしても評価は困難を極める。現在のところは星3つ。
やや、気になる問題点

 昭和天皇が、側近に終戦後語った本音として、発売当時、大きな反響を呼んだものである。
 ただ、私は、これは、信憑性があるのか、否か、判断しかねている。
 まず、著者である。寺崎氏は、外交官で、アメリカ人と結婚し、二人の間に生まれた「マリコ」さんの数奇な運命を描いた「マリコ「は別途ベストセラーになっている。これはこれで、いい話である。
 他方、寺崎氏は、太平洋戦争の海戦の宣戦布告を行なう際の駐米大使館員であり、その前日のパーティーなどで翻訳が遅れ、「リメンバー・パールハーバー」の原因を作った重大な犯罪者の一人でもある。
 こうした二つの側面を持つ寺崎氏が、戦後天皇陛下の側近となったことの理由などは必ずしもよく分からないが、上記のような立場にある人物の聞き取りがどこまで信頼できるかは、「マリコ」で戦争によって引き裂かれた親子の主人公の父親の方で見るか、真珠湾攻撃をだまし討ちさせた責任者の一人と見るかで、(心情的に)異なるだろう。
 そういう前提で、昭和天皇のお考えのいったんであることは明らかであろうから、心して読んで置くべきだと思う。

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